第八章 チャンディ・ダサの毎日

二時間かかったとはいえ、まだ日が高いのでその辺りを歩いてみた。すると綺麗に正装した人々が、てんでにお供えを持ってどこかへ出かけて行くのに行き合う。そういえば、満月が近くてお祭が多いと聞いた。それも、かなり特別な満月の時期らしい。
と、思っていると急にベモが目の前に止まって、乗って行けとすすめてくれる。セレモニーがあるんだという。そりゃすごい、と思わず乗ってしまったが、ひょいとホテルから出ただけなので、カメラもないし虫よけも塗っていない。
「まずいなぁ」
「早まったかな」
連れていかれた峠では、警察が出張して交通整理をしなければならないほどの大根雑。かなり盛大なお祭で、次々に焼かれた豚や大きなお供え、ダンスの格好をした人々が集まってくる。

駐車場の近くにいた青年に篠原が英語で話しかけて、色々と情報を得た。
「このお祭は、子供たちのためのお祭です。子供たちが村の一員として迎えられるための儀式をするのです。近隣中の村が、全てここに集まっています。たくさんの捧物をします。槍のファイティング・ダンスを、山の頂上で真夜中に行います」
見れば、まるで小さな粉になってしまったかのような人々が、はるか尾根までつながっている。あの列が行き着くグマン山の頂上まで、地元の人の足でも一時間半はかかるという。サンダルばきの軽装、おまけに腰痛の私が居るとときては、とても本祭など見に行くことはできない。
仕方がないとあきらめて、集まってくる人々の綺麗なクバヤを鑑賞していた。子供のための祭とあって、子供連れが多い。みんな着飾って、女の子はとても綺麗で可愛いし、男の子は粋で格好良い。
やっとこちらに来る車が落ちついたのか、警察官の人々はトラックの荷台で遅いランチを始める。そろそろ私たちも帰ろうと、長い坂を降り始めた。途中でドイツ人の女性と一緒になり、ぼってくる車を追い払い、リパブリックベモに乗ってホテルに戻った時は、夕刻もずいぶん遅くなっていた。
今夜はちょっとリッチに、レゴンダンスを見ながらホテルのディナーを取るつもりだったので、席を予約してくる。結構な人気で、ちょっと端の席になってしまった。さすがにサヌールやヌサドゥアのホテルのようにはいかない。でも値段は格安だった。


ダンスディナー RP15,000(\900)

ヌサドゥアのホテルなら、軽く$25(\3,000)ぐらいはかかってしまう。
フロントで観光ツアーの予約をする。ガイド兼運転手がつくだけの、簡単なツアーだが、値段はそこそこ。
ディナータイムまで中途半端に時間が開いたので、少し眠ることにした。あっ…と言う間に外は真っ暗になり、思わず深く眠りこんで…。起こされた私は超不機嫌になっていた。
頭がぼーっとして、身体がなんとなく熱い。起こされて行ったレストランでは、ダンスが始まるどころかブッフェの仕度も思ったより遅く、もう少し眠らせてくれたら良かったのに…とぶつぶつ。やっと全ての仕度が整った頃には、私だけではなく篠原まで眠くなっていた。以前にもこんな事があった、確かとどこかのレストランで…時間ぴったりに行くと、たいてい待たされてしまう。バリでディナーを取る時は、少し遅れて行くぐらいが、もしかしたらちょうどいいのかもしれない。
待たされた食事は、残念ながらあまり美味しくなかった。
一番美味しいのが、サテ(焼き鳥)だったので、オージーに負けずにサテを大量にいただいてくる。調子に乗ってカクテルも注文。こちらは美味しかった。
レゴンダンスはキジャンと呼ばれる、黄金の鹿のダンス。十代の少女が飛んだり跳ねたりで、なかなか可愛らしい。それはともかく、ガムランオーケストラにいるタイコ係のお兄さんの横顔が、友人(女性・美人)の顔に酷似していて、思わず写真を証拠として撮ってしまう。
最後までぜひ見たかったのだが、始まった時間が遅かった事もあって、もう眠気の限界がやってきてしまっていた。どうしてバリはこんなに眠くなるんだろう。日本じゃ、私なんか不眠症ぎみで困っているというのに。

 1992.10.11

C,D,B,コテージの朝食はマズイ。
薄くて水っぽいオレンジジュース、発酵しなくてカチカチに固くなったロールパン、熟れていなくて青くさいフルーツ。いくら宿泊料金に朝食が含まれていても、これは…。朝からがっくりきてしまった。バリでは食事が楽しみの一つなのに。
時間ぴったりにツアーのタクシーはやってきた。今日はカランガッセムと呼ばれる、西バリ地方アンラプラを観光して回る予定だ。タクシーの運転手は英語ができるので、篠原に解説をしてもらう。
バリの霊峰アグン山から水を引いた、豪華でスケールの大きな王様のプールはすごかった。バリの十二支がずらりとプールの周囲に並んで水を吐いている。澄んだ冷たい水をたたえるプールは、現在でも遊泳可。ただし飲料は不可だそうだ。プールの側にはロスメンもあって、なかなか風情がある。ここに泊まってみたいものだ。それには足が必要だ!免許があっても、ペーパードライバーすぎて運転できない我が身を呪う。
アンラプラのパサール見学のついでに、篠原がバリの正装、クバヤを一式買いそろえる。ピンク色のレースの上着に、綺麗なバティック一そろい。三千円ぐらいに値切ったら、一発でOKが出た。しまった、もっと値切れば良かった…。
デンパサールに帰ってから同じ物の値段を聞いたら、約五倍の値段をふっかけられた。半額にしても倍以上になるだろうから、やっぱり地方の方が物価は安い。ついでに自分のも買えば良かったと、そのあとで後悔してしまった。買わないで後悔するより、買って後悔したほうがいいのではないかと、こういう事があると実感してしまう。
アンラプラには今は亡き王朝の王宮跡が、あちこちに残っているようだが、どこもかしこも荒れ果ててひどいものだった。水の宮殿と呼ばれた豪勢な城跡も、今ではまさに瓦礫の山となり、田畑の中に埋もれかかっている。崩れかけた建物は、今も使われているジョグジャの王宮と比べるまでもなく、うらさびしい。
駆け足のように王宮を通り抜けると、一通りツアーの場所の見学は終わったらしい。あとRP15,000出してくれれば、半島をぐるっと回ってドライブしてくれると、運転手は言う。
「RP10,000だったら、出してもいいけど」
さりげなくディスカウントすると、OKになった。言ってみるもんだ。
バリ東部の海岸線をぐるりと回る。この辺の大地はかなり火山の影響が強く、溶岩が流れだした跡がそのまま河原になり、道路をつっきっている。あちこちでマンディをしている人々あり、子供たちあり。だが土地は赤く痩せていて、雨もあまり降らないようだ。どこの家の屋根にも、雨を集める仕掛がしてあり、庭には巨大な瓶があって、水を溜めておけるようになっている。
ほとんど絶壁のような所にも、張り付くようにして畑が作られ、痩せた牛が食事用のわら束の下で昼寝をしている。巨大なサボテンの群れに、山羊の親子、ぼんやりしている犬たち。ここではいったい何が採れるんだろうか。
だが陸の貧しさに比べ、海の美しさといったら。どこまでも底が見えるほど澄んだ水に、バリのカヌー、ジュクンが並んでいる。海底の石が一つ一つ数えられそうだ。ダイビングするのなら、こちらに限る。
乾いたオレンジ色の大地を走って行くと、荒れ果てた段々畑の中に、ポツンと真っ白なコテージが姿を現した。ドライバーの友人が務めているという、アメド・リパの HIDDEN PARADISE COTTAGESである。
ここはまさにパラダイス、このコテージの周辺にだけは、ふんだんに緑があり、華やかな雰囲気に満ちている。小さなコテージが点在する庭を抜けると、可愛いプールがあり、ビーチフロントではレストランが営業している。ずいぶん新しいと思ったら、二ヶ月前にオープンしたばかり、と言う事らしい。客はほとんどが欧米人で、さすがに日本人はまだ来ていないようだった。
レストランはさすがにちょっと割高。だが、たいへん味は良い。ここで飲んだフレッシュトマトスープは、どこのものよりも美味しかった。周囲には他のレストランどころか、人家もないような荒れ地なのに、ここだけが別世界である。
お腹がくちたせいか、その後はにわかに眠くなり、うとうとしながら車に揺られてホテルに戻った。
その日の昼下がり、まだ暑いので水浴びがてらプールで遊んだ。ひんやりと冷えた身体で、またメインストリートをぼんやり流す。
チャンディ・ダサにはラグーン(内湾)があって、そこの前には大きな寺院が作られている。そこがチャンディ・ダサのランドマークだ。その前を抜けて突き当たりのジャングルの中に足を踏み入れる。金髪のお嬢さん達が、きゃいきゃい言いながら自分たちのロスメンがある方向へと消えて行く。牛や豚がごろごろ眠っていて、鶏が走って行くジャングル。平和な光景だ。
どうも空模様が怪しくなってきたので、探検はこのぐらいにしておこうと、ジャングルの途中で引き返し始めた。屋台でも出ていないかなぁ、と思っていたら、案の定サテの屋台が路上に登場。サテの屋台にいたのは、まだ十五才の少年。一本RP100のサテを20本焼いてもらいながら、適当にインドネシア語と日本語の交換をする。
「ピリン?ああ、皿ね、サラ」
「サラ。イニ・アパ?」
「サンバルかぁ…カラシ…かな」
屋台のサテは小指の先ぐらいの大きさで、ほとんど駄菓子の感覚。小学生の頃に屋台で買った、みたらし団子を思い出す。一本三十円、五円足すときなこを回りにまぶしてもらえたんだっけ、あれおいしかったなぁ。
サテはけっこういけた。あっと言う間になくなってしまうのが残念だ。
だんだん日が暮れてくる。
「そうだ、ウォーターガーデンを見学してこよう」
チャンディダサに泊まるなら、ここがお奬め!と言う素敵なコテージがある。ちょっと高め$60だが、三人で泊まればそれほどではない。コテージ一つ一つに池がついている、ちょっと豪華なコテージなのだ。
どうせ観光客なんだからと、勝手にひょこひょこ入っていったら、従業員に呼び止められた。が、見学したいと申し出たら、案内してくれる。
「緑がいっぱいあって、落ちつくねぇ」
「山側だから、風もないようだし…プールもある」
中は噂通りのこじんまりとした、しかし手入れの行き届いたおしゃれな作りのコテージだった。柔らかそうなベッドが、お客を待っている。セッティングされたポットが、きらきら光っていて美しい。ちょっと贅沢したければ、ここで一泊も良いな。少なくとも、サヌールのサティバよりは安いし、朝食もつくぞ。
見学にたいへん満足して、私たちは料金パンフレットをもらってコテージを後にした。せっかくだから、今夜の食事はこのコテージに併設のレストラン、TJ,Sでとることにしよう。
TJ,Sにはなかなか可愛いウェイトレスの女の子がいて、熱心に話しかけてきてくれる。日本語を教えてほしいと言うので、「イラッシャイマセ」「ゴキゲンイカガデスカ」なんかを教えた。
よくそのへんで、「オゲンキデスカ」と言われる。それは確かにインドネシア語の、アパ・カバールの訳なのだけど、日本じゃあまりそうは言わない。日本では身体の調子イコール気分じゃないから。そのへん、日本語のニュアンスと言う奴があるんだなぁ。できれば正しく美しい日本語を教えてあげてほしいと、私は思う。
篠原はここで「ラクシャ」と言うココナツクリームヌードルを食べた。これはマレーシア料理で、ココナツミルクにスパイスが入った、なかなか美味しい物。でも篠原はグリル焼きみたいのが食べたかったそうだ。


※アンラプラ・ツアー※ 
二人で RP40,000+10,000
※食事※
ラクサ RP10,000
バニラミルクシェイク RP1,500
ソフトドリンク RP1,000

バリ東部を観光しよう

1992.10.12

今朝は八時半にピックアップの予定。今日はバリ島の霊山、ブサキ寺院へ観光に行く予定だ。

昨日の夕刻の浜遊びで、日焼け止めのクリームやサンオイルを入れていたビニールバックが見あたらないので、まだ時間があるすずはらは、浜まで探しに降りていった。なかなかないなぁ…と探しているうちに、地元のあんちゃんたちに呼び止められる。
「セーリングしない?安くしとくよ」
すずはらは沖に浮かぶ四つの岩が気になっていたらしく、あの側まで行けないかと交渉を始めた。
しかし、ちっとも帰ってこないすずはらを心配して、私が浜へ出たときには、すでに話は別の方向へ行っていた。
「ねぇ、明日の九時からこの先の浜辺でセレモニーがあるんだって。行ってみたいなぁ」
うーん、そりゃけっこう面白そうだ。浜辺のお祭なんて、見た事も聞いた事もない。明日はチャンディ・ダサを発つ予定だったが、半日延長滞在しても行ってみる価値はある。
「で、いくらでやってくれるのよ」
「七万ルピア」
 マハル トゥルラル・マハル
「高い!高すぎる!」
すごいふっかけてきたので、値切るだけ値切った。安くなければ、別に行かなくてもいいんだよ、そろそろピックアップの時間だし…、と言うそぶりをしたら、値段は落ちた。
「じゃ、二万五千ルピアでオッケイね。それ以上は出さないよ」
交渉していたら、本当に時間がなくなってしまった。大急ぎでダイニングへ行って朝食を取る。相変わらずの激マズ。時間さえあったら、外で食べるのに…。
昨日のタクシーとは違う、なんだかオンボロな車が到着。どうやら自家用車らしい気配がする。二人のおじさんが乗っていたが、一人はここで車を降りた。運転手兼ガイドのおじさんは、インドネシア語より英語の方が堪能な華人。だが車の窓が開いているせいで、声が風に流されて半分ぐらいしか聞き取れない。
おじさんは三国士が好きで、中国語で読んだそうだ。仏教徒なので、バリで唯一の仏教のお寺(バリの北側にある)にまで行く、そうだ。このおじさんは、アジアン・バグースの存在を知っていた。


※アジアン・バグース
フジテレビの深夜にやっている、シンガポール・マレーシア・インドネシア・日本合同の、アジア合同スター誕生・1997年現在も続行中

昨日とはうってかわって、今日はがたがたの山道を突っ走る。通る村はどこもがお祭の準備の真っ最中。道端には七夕のような飾りが立てられ、人々はおめかしをして出かけて行く。庭先で豚の丸焼きを制作中の家もあった。見晴らしの良いレストランとロスメンのある場所で、眺望を楽しんだ後、ブサキへ。
ブサキはバリで一番位の高いお寺だそうだ。涼しい高地にある所も、高野山とか鞍馬山とかを想像させる。駐車場から参道が、寺まで1キロほど続いている。日本の参道と同じように、脇におみやげ物屋がずらっと並んでいた。けっこう面白そうな物が並んでいるので、帰りに寄ってみようと思う。
ブサキ寺院の建物はなぜか黒い。石が黒いのか、黒くなったのか…。だが荘厳な雰囲気が感じられる。やはりここでも大きなお祭を控えて、白装束のプリーストが大勢集まっていた。他にも大きなお供え物を頭に乗せた人や、かごにお供え物を詰め込んだ人が、つぎつぎ坂を昇って行く。
さすがに観光地だけあって、外国人も多かった。中にはサリーを着たインド系の婦人の姿も。最上層の境内には、異教徒は立入禁止。でも中は見える。
「ガムランの準備がしてある…もうすぐ演奏するのかな」
「黒と白と黄色の布が巻かれた像がある。あれが御神体かなー」
さっきのサリーを着た婦人が、境内でお参りをしていた。
「…そうだよね、インドはヒンズー教だもんな」
いつもなら、ブサキはもっと静からしい。
どこにでも入ってくるバリ犬を追い払いながら、階段を下りて行く。露店で早生のランプータンが売っていたので、すずはらはそれを試してみたが、すっぱくておいしくなかったらしい。ジャカルタで買ったメダンのバナナを思い出して、ついバナナなど買ってしまう。
帰りはちまちまと買い物。すずはらはすごいチャイナドラゴンの柄のついた、派手なサンドレスを、つい値切り損ねてRP10,000で買ってしまう。私はそのへんで売っているベッドカバーが気になったが、なんとなくあきらめて、後ですごく後悔する。
ぱらぱらと雨が降りだしたブサキを後にして、レストランへと直行する。話に聞いたことがある、ブキット・ジャンブールのレストランだ。確かに見晴らしは最高で、遠くにはちらりと海まで見える。
食事はやっぱりマズイ。どうしてこう、ビュッフェ・バイキングのレストランはまずいのか。ツアーのコースに入っているので、まずくても気にならないと言うのか?くそう。
帰りぎわには、シャトルバスで通ってきたクルンクンのクルタ・ゴサと言う王宮と裁判所を見学する。天井には昔のバリ絵画がびっしり描かれてあった。併設の博物館には、オランダとの戦争の際に行われたププタン(集団玉砕)の絵とかがあって、なんとなく不穏な雰囲気。
おじさんが車を止めたマーケットには、ダンス用の飾り物とかを売っている店がある。面白そうなので中に入っていって、店番のおばぁちゃんと交渉した。元々値段が安かったせいか、あんまりまけてはくれなかったが、面白い物が買えた。他にもバリの線香を一山、一パック十本入りのものが十個入っているビニールが…一ダース。ちょっと多いかな、と思ったけど思いきって買った。緑色の紙袋で、商品名は○○○
コースの最後になっていたコウモリの洞窟、ゴア・ラワはあんまり見たくないので、パスして帰った。だって近くを通るだけで、糞が臭いんだもの。
ドライバーのおじさんがそれで気を良くしたのか、帰りぎわに自分のやってるコテージに寄れ、と言う。
チャンディダサのはじっこにある、小さなコテージ「フランボヤン」どうやらお客はいないようだ。確かにチャンディ・ダサ・ビーチコテージも、あまり客はいなかった。 海はすぐそば、一泊RP15,000と格安だけど、水シャワーしか出ないし、ちょっと寂しい所にあって私たち向きではない。もっとずっと長くここにいたい人や、男の人ならいいかもね。家にはチャイニーズの奥さんと、おじさんにそっくりな息子が、猫二匹と一緒に留守番をしていた。
バリの猫は割とそっけないので、こんなふうに人に飼われているのは珍しい。思わず猫に触りまくる。ああ、預けてきたうちの猫は元気かなぁ。
ホテルに戻ると、また一泳ぎ。浮き輪を使ってプールでのんびり。シャワー浴びるより解放的で楽しい。夕刻になると、お決まりのジャラン・ジャラン(散歩)今夜はどこで晩ご飯にしようかな。
歩きながら見つけた「Legend of Rock Cafe」と言うカフェでティーブレイク。ハードロック大好き、という感じのウエイターくんたちが話しかけてくるが、あんまり話が合わないので、適当にはぐらかしてしまう。もうちょっと、ほっといてくんないかなぁ。
「この…スパイダーというのにしよう」
「なにそれ」
「わかんないから、面白そう」
すずはらが興味本意で頼んだドリンクは、スプライトにバニラアイスがぶちこんであった。すごい甘い。
夜にはここでLDの上映なんかもあるらしい。
結局ホテルの隣にあるシーサイドレストランで、晩ご飯は頂く事にした。
PANDANRESTAURANTで、すずはらはポークソテー、私はナシゴレン。ポークソテーはすっごく大きいけど、柔らかくておいしかった。ナシゴレンはちょっと辛目の味付けで、舌がひりひりする。今日もカクテルなどをいただいた。なみなみと入ったマルガリータは、けっこうアルコールも強い。
真っ黒なチャンディダサの海が、風でごうごうと鳴いている。まるで輝いているような漆黒の波。遠くを動いてゆくのは、漁船かそれとも客船か。日本語とインドネシア語、フランス語に英語イタリア語。様々な国の言葉が夜の中へと消えて行く。誰も隣を気にしない、目の前でちろちろと燃える、蝋燭の炎の舌を見ながら、身体にアルコールを回した。

※ブサキ・ツアー※  RP45,000
※食事※ 
スパイダー  RP5,000 
ナシゴレン RP2,400
ポークソテー RP4,300 
ソトアヤム RP2,000
トマトスープ RP2,000
マルガリータRP4,500