帰り仕度かな?

1992.10.15

それでもウブドの朝は気分のいい朝だ。鶏の鳴き声に水野流れる音、どこからともなく立ち上がる朝食の湯気。
アバンガンの朝食は、あまり印象に残らない感じのバリニーズモーニング。夕べバルコニーにかけておいたタオル補引き取って、ぼんやりと食事をした後、気を取り直してウブドのメインストリートへ出かけた。
朝食を持ってきたマデが、相変わらずしつこくサヌールまでのトランスポートの勧誘をしてくる。しかし私たちは途中のトーパティと言う村にある、貴金属店に寄って買い物をしたいのだが、それでもいいのかと念を押すと、それもいれてRP20,000でいいと言う。
まあどうせシャトルバスに乗るかベモをチャーターするかどっちかだろうと考えていたので、送ってもらうことにする。
移動用の車は御自慢の新車、大きめの真っ黒いバンである。運転手はアバンガンコテージのフロントにいた、無口なワヤン。ひょろひょろと細長くて調子のいいマデとはまるで正反対の、がっしりとした体格でしっかりもの、と言う感じの彼は、かなり私の好みなのだ。せっかくだからとチェックアウトの時に、一緒に写真を撮ってもらった。
車は途中で給油をすませてサヌールへ。車にはなぜかマデが一緒に乗り込んで来て、なにかと軟派に話しかけてくるが、サヌールに近づくにしたがってだんだん無口になり、途中で店に寄るんだから、もっと金をくれと言い出す。
しかし、約束通り車はトーパティのMEGAに入っていった。
ここはバリには珍しく、昔から定価で商品を売る店で、あちこちのホテルにも支店を出している。とんでもなくボラれる他の店で四苦八苦して交渉しても、とうていこの定価までは下がらないだろうと思われる値段で、骨董品や貴金属などのおみやげ品を並べている。
日本語もできるマネージャーの奥さんは、先日Jさんたちがここに来て、貴女たちもきっと来るだろうと思っていたと、話してくれた。すずはらは両親へのおみやげを買い、私はここで前々から欲しかった純金製のバロンのペンダントヘッドを購入する。この繊細な顔の細工が、銀ではなく金でぜひ欲しかった。


メガでのお買い物 銀細工5点で RP95,920

三十分ほど買い物をして出てくると、ますます機嫌が悪くなったマデが、もうRP5,000くれと金額を提示するが、私たちは応じなかった。ドライバーのワヤンは黙って運転するのみ。
予定では十二時ごろにサヌールに到着する予定だったが、道がすいていたせいで十一時ごろにホテルに着いてしまった。すっかりふてくされているマデと、相変わらず無口なワヤンに、代金とチップを少々渡した。
また戻ってきたサティバ・サヌール・コテージ。それはいいんだが、少し早く到着したせいか、新しく入った部屋はなんだかしらないが、不備が大量に出た。

その一 キィを抜いてもライトが消えず、電気が入ったまま
その二 ベランダのライトが壊れている
その三 冷蔵庫が壊れている
その四 シャワーがお湯にならない

サティバは確かに新しくてきれいだし、スタッフの感じも良いのだけれど、本当に凡ミスが多すぎる。しかしそれも料金が安いと言うなら納得するが、ここはそれでも値段だけなら、一流にも足をひっかけられるぐらいの宿泊料なのだ。それでこれはちょっと…。

今日は最後まで買い物ざんまい。デンパサールまで行ってデパート巡りをしたり、靴を買ったり。インドネシアのサンダル靴は、素足にぴったりしていてとても履き心地がいい。さすがに素足の国らしい気の使い方だ。
そんなこんなで日が暮れるまで、デンパサールの町をふらふらと散歩し続ける。デパートで食べたソト・アヤムが一番おいしかったんだから、今回の食事はかなりはずれだったようだ。
ホテルに帰ろうとしたが、どうもベモが良くわからない事を言い始め、ナイトマーケットが開かれているステーションで停車する。どうもうまくないが、ナイトマーケットは珍しい物の宝庫で、けっこう目を楽しませてくれた。
ここまで来てしまったら、もうサヌールへ直行するベモは無い。仕方がないのでぼろぼろのベモをRP10,000でチャーターしてホテルへ戻る。帰路はもう見慣れてしまった道で、真っ暗でもどの辺りかだいたいわかるようになってしまった。
今夜は行こうと思っていたレストランが休業だったため、ハイアット付近のレストラン、GREY HOUND PUBで夕食を済ませる。ここは欧米人が客に多いせいか、ノリがアメリカンだった。味もかなり欧米系で、こってりとした大味。
帰りに寄ったレストラン前にあった、眩しすぎるほどに明かりをつけたコンビニのような店は、今にもうとうと眠ってしまいそうな店員が、宵っぱりの観光客の相手をしていた。


メガの本店でおみやげ品5種類6点で RP 95,920  
マタハリデパートで靴 RP 5,000  
グレイハウンドパブで スプライト RP 1,000
水 RP 1,250
チキンコルドンブルー RP 5,500
ポークチョップ RP 4,500

テンション下がってるねぇ

1992.10.16

三回もクレームをつけた甲斐もなく、一晩たっても部屋のお湯は出なかった。
仕方がないのですずはらが楽しみにしていた亀の島、スランガン島へと出かける事にする。まぁ、サヌールの浜をうろうろしていれば船ぐらい見つかるだろう、と思っていたら、サヌールビーチホテルのプライベートビーチ近くに、船は一台$20の表示。
うまいこと近づいてきたおっさんに、この値段通りやってくれと言うと、これは一人分の値段だ、と言い張る。しかし、どう何度見てもこの英語は、一人分の値段ではなく、船一台分の値段である、としか読めない。あくまで主張をゆずらないおっさんに、じゃあ隣のホテルまで行って頼むからいいや、と言って歩き出すと、20メートルぐらいの所でOKが出た。
やれやれとばかりに船に乗り込んで島へ向かう。しかし心配なのはすずはらだ。スランガン島って、亀の島とは名ばかりの、さびれた寂しい島なんだけど…。がっかりするだろうなぁ…でもガイドブックも読まないし、説明しても聞いてくれないし。
すずはら念願のスランガン島は、やはりただの漁村で、食用と言うより観光用に飼われている海亀は、生活排水で黒く汚れた海水に、ヨチヨチと体を浸していた。
「これじゃ、水族館の方がまだマシだ…」
すずはらがすごく情けない思いをしているのが良くわかる。
島はとても小さく、ときどきやってくる観光客目当ての売店と、民家の他には小学校が一つあるだけ。
島に上がったとたん、島の女の子たちがわっと回りを取り囲んで、おみやげ物の売り込みをする。それがすごくしつこくて、とんでもない値段なのだ。こちらが何も買わないとわかると、今度はあれをくれ、これをくれの大合唱に変わった。
私たちが逃げるようにして島を後にすると、沖天に上がった太陽の日差しは、いっそうきつくなっていた。
ホテルに戻ると、てきめんにすずはらの具合が悪くなった。
軽い日射病と脱水症状、水を飲んだ方がいいのだが、だるいから後にすると言って、ベッドに入ってしまった。
もうお昼だし、お腹もすいたので一人で昼食にでかけたが、たった一人で食べたビーフンはちっともおいしくなかった。サヌールもさすがに海沿いだけあって、昼間の日差しはとてもきつい。ぼーっと歩いていると溶けそうだ。
暑さしのぎに入った店は、前から欲しいと思っていたセンスの良いJIGGY.STUDIOの直営店で、新しいデザインの物が何着も並んでいた。サイズはXLワンサイズのビッグ・シャツだが、そのエスニックな図柄はとても私好みなのだ。 魚と亀のシャツを買って、亀島で心が傷ついただろうすずはらにおみやげ。亀のシャツは予想通りたいへん喜ばれ、とても嬉しかった。
食事を終えたあと部屋に戻ると、ルームサービスでお茶を頼んですずはらはバナナと一緒に水分を補給する…と、たちまち不快感は消え失せてしまい、下痢だけが残った。
しかしすずはらの究極の目的、オパールの指輪購入はまだ果たされてはいない。下痢を薬でおさえ、私たちは高級品のショップが並んでいるだろう、バリで一番のリゾート地区ヌサドゥアへ向かった。
途中でトイレのためにすずはらがタクシーを下車して、その辺の事務所へ駆け込むと言うアクシデントもあったが、無事にグランド・ハイアットへ到着。今年できたばかりの超高級ホテルは、信じられないぐらい広くて豪華で白くて…風が強い。ロビーには日本人の新婚さんと欧米人がわんさか。オープンしたてのハイアットは特別価格で、今年はけっこうリーズナブルらしい。ああ、ダーリンがいるっていいなぁ…などとカップルを羨みつつ、うろうろ。
しかしすずはらが目指すような品はここにはなく、無料のヌサドゥア内無料シャトルバスに乗って、隣のヒルトン・ホテルへ。
ここもまたすごい。大きくて豪華で…ぞっとするほど景色が良い。なんだか信じられないような眺望。しかしホテルマンたちはとてもフレンドリーだ。さすが超一流ホテルだけの事はある。
ここですずはらはやっと思い通りの指輪を見つけ、残っていたトラベラーズチェックをはたいて購入する。
「$200よ、$200!!すっごーい」
ブランド物と比べたらささいな物だが、私たちにとってはすごい大金だ。
「こんな派手な買い物、初めてだー」
とはしゃいだのがたたったのか、帰りのタクシーの中ですずはらは発熱。戻ってみればもう夕方五時だというのに、部屋の掃除は全くされておらず、またフロントにクレーム。
「ようし、ロブスター食べるぞ、ロブスター」
行こうと予定していたイタリア料理店が昨日休みだったと言う事もあって、すずはらはとても期待していた。ちょっとまだ熱っぽいけれど大丈夫だと、噂のダ・マルコへ。どうしても食べたかったロブスターは、なんとRP50,000!
しかし、待っても待っても、隣の席に外人夫婦がやってきて、食事が終わりそうになっても出てこない。海風はだんだん冷たくなるし、空腹で気分が悪くなるしで、さんざん待たされたあげくに現れたロブスターは、なんとも巨大な代物だった。
一匹を三枚におろしたらしいそいつは、ただじっくりと炭火で焼いただけのものらしく、大味でぼそぼそしていてどうにも食が進まない。隣の外人夫婦を驚かせた巨大ロブスターは、結局三分の一しかつついてもらえずに、戻されていった。
「お財布を空にしてまで食べた甲斐が無かった…」
今日のついていなかった賞は、どうやらすずはらになってしまったらしい。
注文の仕方が悪かったのか、それともこの店のロブスター料理がまずいのか、確かにピザやスパゲッティはおいしそうだったし、回りの客もそういうものしか注文していなかった。ああ、おいしいロブスターはどこに…。昔、ウブドの橋のたもとで食べた、チーズがけのロブスターは美味だったなぁ。
その夜、すずはらの熱は上がり、アスピリンを飲んだものの暑さで七転八倒、水を飲んでやっと眠れたらしいが、夢を見て寝返りのついでにベッドから落ちたすずはらは、そのまま右脚をつらせてしまって、ますます最悪状態に。

ヒルトンでのティーセット 2人でサービス込み RP7,480 
DONALD'Sでの朝食 アメリカン・ブレックファスト RP4,750
ハムベーコントマトジャッフル RP2,500